西田敏行は完璧に模写 三國連太郎はまったく別人になる 高倉健は貫き通した

(原田大二郎さん)
「高倉健さんにしても裕ちゃん(石原裕次郎)なんかにしても、基本的には『この人、好きなんだよなあ』って思わせる魅力をぷんぷん匂わせているじゃない。演技ってそれなんだろうと思う」
「たとえば、三國連太郎さんは、5つ役があったら5通りの演技をやるわけですよ。それぞれが見事に全く別人となっている。郵便局員を演じたら、もう郵便局員にしか見えない。緻密でないとできない演技だね」
「高倉健さんは、どんな役でもこれだという演じ方をみつけて、それを貫き通した人。13本の作品があったら13本同じ芝居をする」
ー原田さんは、どのように演技に向き合いましたか?
(原田大二郎さん)
「僕は定まらなかったな。人には感化されてきたけど」
「西田敏行は、青年座に入る前、郡山から東京に出てきて、まずは動物園でゴリラを4日間観察し続けた。あいつのゴリラ芸はすごかったよ。完璧にゴリラになりきった。観察がとても大事だということ。観察して、それを再現するのがうまいんだよね。ゴリラの本質に近づいて、真似をできる人はそういない。持って生まれたものだろうね」
「石原裕次郎が出てきたときは、鮮烈だったね。『太陽の季節(1956年)』でみせた裕次郎のちょっとした仕草やセリフは、それまでの人気俳優の演技が一気に古臭く感じてしまうほどだった」
ー原田さんご自身は、どういうタイプの俳優だと思われていますか。
(原田大二郎さん)
「自分には何もないと思うこともある。ただ、1970年に初主演した映画『裸の十九才』は、いま見返しても、当時の自分の演技は越えられないと思う」
「そのオーディションで僕が合格して、西田敏行が落ちた。西田は『どんな奴が合格したんだ』と見に来たら、僕だったと言っていた。生まれ持った才能かといえば、そうかもしれないね」