パリ五輪での惨敗からリベンジ狙う競泳陣
7月には、水泳世界選手権大会がシンガポールで開催される。
パリ五輪で日本競泳陣が獲得したメダルは、男子400m個人メドレーの松下知之(東洋大)の銀メダルひとつのみ。メダルなしに終わった1996年アトランタ大会以降では最も少ない数となり、惨敗を喫した。そこから再スタートを切る日本競泳陣だが、注目はパリ五輪でも活躍した松下だ。
パリ五輪では世界王者のレオン・マルシャン(フランス)について行かず、後半勝負で6位から一気に2位に順位を上げるクレバーなレースを見せた。得意は自由形、この時も力強いストロークから繰り出されるスピードを活かして痛快な逆転劇を見せた。
今年4月、同じ栃木出身で憧れの萩野公介を追って東洋大に進学。萩野や北島康介を育てた平井伯昌コーチの指導を受け、今も成長を続けている。
「マルシャン選手という高い壁はあるが、自分はチャレンジャーとして挑んでいきたい。4年後のロス五輪はまた違った気持ちで迎えられると思うので、4年間かけて頑張りたい」と語り、ロス五輪を見据えている。
来年7月の大会は、そのための第1歩となるレース。3位内をキープし、安定した強さを見せることで泳ぎの再現性を実現し、高い壁を乗り越えていってほしい。また、男子では平泳ぎ200mの渡辺一平、200m自由形の松元克央にもパリのリベンジの期待がかかる。
女子では、鈴木聡美が楽しみだ。33歳ながらパリ五輪で平泳ぎ200mで4位に入り、健在ぶりをアピールした。2012年のロンドン五輪では100m平泳ぎで銅メダル、200m平泳ぎで銀メダル、400mメドレーリレーで銅メダルを獲得し、日本競泳女子史上初の1大会で3つのメダルを得た。
その後、リオ五輪では100m平泳ぎに出場するも準決勝敗退、東京五輪は代表枠を得られなかった。一時は引退も考えたが、コーチの助言や「納得いくまで競技を全うしたかった。自分の殻を破り、変化を受け入れる」と気持ちを切り替えることで、トレーニングに意欲的に取り組み、新たな泳法に行きついた。
2023年の世界水泳では100m平泳ぎで14年ぶりに自己ベストを更新し、2024年3月の代表選考会では青木玲緒樹を破り、記録をさらに伸ばした。10代で活躍する選手が多い中、30代に突入し、衰えるどころか、強さを増している。パリ五輪明けの世界選手権になるが、前回大会で自己ベストを更新したように、今回も自己ベスト更新してメダルを獲得し、年齢の壁をぶち破ってほしい。