「安定が訪れる」トルコ国境には帰還急ぐシリア難民

小川彩佳キャスター:
内戦の最中には多くの難民が隣国トルコに逃れました。トルコ南部の国境から増尾記者に伝えてもらいます。多くの方がいますけれども、そちらに集まった難民の方からはどんな声が聞かれましたか。

増尾聡 記者:
シリア最大の北部の都市アレッポから50キロほどのトルコ側の検問所にいます。我々はここで10時間ほど取材を続けていますが、今も多くの人の姿が見られます。

今朝は、まだ暗い時間からかなり多くの方が集っていて、だいぶその数減りましたが、それでも今もなお大きな荷物を持ち、この場所に到着する人たちが集まってきています。

こうしてここに集まっているのは、2011年のシリア内戦が始まって以降、トルコに逃れてきた難民の人たちです。この検問所を通ってシリア国内へと帰還しようとしています。今日はこれまでに600人が国境を越えたということです。

アサド政権の崩壊を受けて母国への帰還を決めた人たちからは、一様に「これでシリアに安定が訪れるんだ」という希望の声というのが多く聞かれました。

小川キャスター:
長く続いてきた内戦なので、その希望がかなえられてほしいと願うばかりですが、その思いの通りにいきそうでしょうか?

増尾 記者:
今後の状況というのは、決して楽観視することができないということが言えると思います。今回の反体制派勢力の電撃的な攻勢では、異なるいくつものグループが「打倒アサド政権」で一致することができましたが、それぞれをよく見てみますと、本質的には全く別の主義・主張に立っている勢力も多くあります

今後新たな政権作りが進んでいきますが、この際に、例えば主導権争いとなれば、再び戦闘に陥るリスクをはらんだままです。どこまで歩み寄って安定的な政権を築くことができるのか。シリアの国民にとっての正念場というのは、むしろここからなんだというふうに思います。