「ビジネスサイドの意見が強くなりつつある時期」にチェアマン就任を決意

―――そして、次はJリーグのチェアマンにという声がかかるわけですよね。その時はどう思われましたか?
 チェアマンは、やりたいとかでなれるとか、立候補してなれるというような仕組みになっていないんです。選考する人たちが決めるんですが、きっと何人かの候補者とか、可能性のある人に「選ばれたらチェアマンをやりますか?」と打診するのが最初じゃないですかね。何年か前に打診があったときには、「結構です」と断りました。

―――2度目の要請を受けることにした理由は?
 フットボールサイドの意見とビジネスサイドの意見は相反するところが絶対あるんですね。2度目の要請があったときは、ビジネスサイドの意見がちょっと強くなりつつあった時期でした。フットボールサイドから育ってきた私からすると、「ちょっとバランスを変えないと」とか「変えた方がいいな」と思ったタイミングだったんです。ですから「選ばれるなら、私はやります」と答えました。

―――就任されてからは、フットボールサイドの意見は通るようになりましたか?
 フットボールサイドの意見が全部通らないとならないというわけではないんです。例えば、年間50試合ぐらいまでのほうが選手の体にとって良いのでは、というフットボールサイドの意見があったとして、でもビジネスサイドとしては60試合をやることで売り上げが伸びるというやりとりは絶対あるわけです。両サイドの事情もわかりますが、フットボールファーストで「譲れないことは、譲らない」くらいじゃないとだめなんじゃないかなと思っています。