「お前がやれ」と大スポンサーに言われて就任したクラブの社長

―――サッカーから学んだことはチェアマンの仕事にも生きていますか?
 間違いなく。間違いなくというか、私はサッカーしかないくらいの感じだと思うので。「引退する前、28歳の頃にどんな選手になりたいか?」って質問されて、「自分が1回もボールに触らなくてもチームを勝たせることができるような選手になりたい」と答えたんですよ。いまも全く同じですね。特に何ができるわけではないので「みんなでやろうよ」というようなスタンスですね。仲間が多ければ多いほど大きいことが成し遂げられると思うので。そんなスタンスはサッカーから学んだかなと。サッカーに限らず、でしょうけど、スポーツだけじゃなくて、1つのことを一生懸命すると「学ぶもの」はきっと多いはずですよ。
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―――2013年にコンサドーレ札幌(当時)の社長になられました。「経営の道に」と思われたのは?
 ちょうどクラブが大変な状況だった時で、「白い恋人」という有名なお菓子を製造販売する会社の当時社長だった石水勲さんがメインスポンサーだったんです、コンサドーレ札幌の。それで、周りの人から、石水さんに「もう一度、コンサドーレの立て直しをお願いしてほしい」と頼まれたんですね、私が。私は引退した後も石水さんとお付き合いがあったので、「お願いしますよ」と。「みんな望んでいるし、チームの立て直しをお願いします」という話をしたんです。

―――石水さんの反応はいかがでしたか?
 「わかった」って石水さんは言ってくれたので、よかったなと思っていたら、1週間くらいして石水さんに呼び出されて「やっぱり、お前がやれよ」と言われたんです。私は全然クラブの社長をやるとか思ってもいなかったし、社長就任を言われるまで考えたこともなかったので、「たまたま社長になっちゃった」という感じです。