これまでに翻訳した演目は100種類以上にのぼります。しかし、神楽ならではの難しさもありました。

レイチェル・ニコルソンさん
「日本の和歌で対決をする場面が出てきて、和歌が創作的に作られているので意味がわからなくて・・・」

例えば、「天神記」という演目に登場する和歌・・・。

『東風吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな』

「東風(春の風)が吹いたら、主人がいなくても春を忘れずに梅の花を咲かせ、香りを届けてほしい」。太宰府に左遷された菅原道真が京都の自宅の梅を恋しく思い歌ったものです。
レイチェルさんは、和歌の意味を調べたり、詳しい人に聞いたりして、英語にしました。

英訳『My plum blossom tree,send your scent on the east wind.
Don't forget to bloom in spring even if I am not there.』

また、日本語で『左大臣』は『minister of left』のように、英語は日本語と比べて文章が長くなるため、字幕を投影するスライド数が1演目に対して100を超えたものもあるそうです。

さらに、文章とのみ向き合って英訳するだけでもいけません。
例えばこちらの神が2人の武将に刀を授けるシーン。

レイチェル・ニコルソンさん
「剣は1個差し上げてるのか2個差し上げてるのかこれ(文章)だけだとわからないじゃないですか。2人にあげてたので、これは複数形でSWORD“S”にしないといけないのでここにメモして…」