危険運転の適用 曖昧すぎる?

井上キャスター:
2018年に三重県・津市で起きた事故は、時速146キロで今回のケースよりも速度だけ見ると、低速ということが言えます。この速度で走行中の車がタクシーに衝突し4人が亡くなりました。「過失運転致死罪」が適用され、懲役7年が言い渡されています。

これをもう少し明確化すべきじゃないか、数値設定できないのか?という流れになっています。

「高速度」について、現在は「制御することが困難な状況」を指しますが、今後、数値の基準を設け一律処罰対象にしようという案があります。

・「高速度」の基準
最高速度の2倍、最高速度の1.5倍などの案がありますが、一般道・高速で考え方違うので、そのあたりをどうするのか?

・「アルコール」の数値基準
血中アルコール濃度(呼気1リットルにつき)0.5mg以上、0.25g以上、0.15g以上、などの案が出ています。(法務省 検討会取りまとめ報告書より)

野口辰太郎弁護士:
客観的な数値を示していくというのは、処罰していく明確性という要件が満たされ、被害者の方から見ても、今回のように翻弄されるといったようなことはないので、メリットだと思います。

他方で道路状況の違い、体質の違い、そういったところから一律に厳罰を科す要件として設定していいのかどうか、そこは慎重に今後審議されていくことかなと思います。

ホランキャスター:
そもそも、アルコールを飲んで運転してはいけないですし、スピードも守らないといけないという中で、ご遺族の方々もいらっしゃるわけですよね。数字で、2は駄目だけど1.5ならいいのか、とても複雑な気持ちになるだろうなと感じます。

田中ウルヴェ京さん:
被害者の立場になったとき、心情がかぶってしまうので、いかにそれを冷静に私達は捉えるかということが、それこそ難しいことだと思います。

井上キャスター:
「なんでこれで適用してくれないんだ」と、今までの遺族の多くの皆さんの思いもあるわけですよね。

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<プロフィール>
野口辰太郎 さん
弁護士
東京弁護士会所属
専門は交通事故案件

田中ウルヴェ京 さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰