再稼働へ 反対する女性の思い

震災後、全国すべての原発が運転を停止し、政府の原子力政策も一時は抑制的なものとなった。

だが、2022年、政府は原発の再稼働の推進や増設に舵を切る。

女川町民の中で、原発に肯定的な人も少なくない。ただ、賛否をはっきりと口にするのは、はばかられる空気が今もある。

女川町民
「メリットデメリットどっちもあるから複雑。女川町自体が小さい町だから、それ(原発の存在)は大きいと思う」
「昔から原発のおかげでというのが女川町は多いので、反対という気持ちにはなったことはない」

震災後、東北電力は再稼働に向け、耐震化や海抜29メートルの防潮堤整備など、5700億円を投じ安全対策を行ってきた。

東北電力 樋口康二郎社長
「中東の情勢も非常に不安定な状況の中で、燃料の確保という意味で、様々な電源を組み合わせて運用することが、安定供給の面からも非常に重要」  

ただ、国や社会のために事故などのリスクを負うのは、原発がある地域とそこに住む人たちでもある。

今年の元日に起きた能登半島地震。道路が寸断され、女川のような半島部の住民の“避難の課題”が浮き彫りとなった。

阿部美紀子さん
“逃げなくちゃいけない町”というのが、そもそも私は考えられないんですよ。原発があるから避難を考えなくてはいけない。なかったら避難を考えなくていい」

美紀子さんは原発回帰の現状に怒りを覚え、活動を続けている。今年7月には、女川町で再稼働の反対を訴えるパレードを行った。

阿部美紀子さん
「きょう7月7日は私の父の13回忌なんです」