「工賃があまりにも低すぎる」

かぼす珈琲誕生の背景には、ある願いがあります。B型の施設は雇用契約を結ばず、『賃金』ではなく『工賃』が支払われます。月額工賃の全国平均は年々上昇しているものの、一昨年度は1万7031円(時給換算243円)で、工賃の水準を高めていくことが課題となっています。

石井隆行社長:
「工賃があまりにも低すぎるということもあり、この事業をするにあたって少しでも改善していきたい。もっと工賃を高くすることを実現するのが我々の一番の目標です」

かぼす珈琲は去年11月から大分空港でも取り扱いが始まり、今では月に500個が売れる人気商品となっています。その結果、昨年度の施設の平均月額工賃は2万8000円となり、前年度(1万5891円)と比べてほぼ倍増させる成果を上げました。

石井隆行社長:
「かぼす珈琲は利用者が作る製品であり、利用者と社会をつなぐツールのひとつでもあります。ここに来て笑顔で仕事して、笑顔で帰る利用者を1人でも増やしていきたいと思います」

施設利用者がやりがいを感じ、対価を得られる環境づくりが求められる中、「ハート・トゥ・ホープ」の取り組みはモデルケースとなりそうです。