--紺野峰夫さん(紺野機業場 5代目)「川俣だけでなく日本で唯一、細い糸を濡らして織るということが他ではできない織り方になっています。髪の毛とシルクの糸は近い特性がある。髪の毛も濡らすとしなやかになるように、シルクも濡らすとしなやかな糸に変わります。非常に細い糸を専門として扱うので、ぬらすほど切れやすくなってしまいます。それを上手に技術でカバーすることで、どこにもないような美しい生地をつくれます。」
「濡れよこ」と呼ばれる、細い糸を湿らせて織るという伝統的な製造方法は、世界でも類を見ない難しい技術と言われていて、日本で唯一、紺野機業場が継承しています。この技法で、独特な柔らかさとハリ、透明感がうまれるんです。世界に誇れる技術だからこそ技法の継承を大切にしている紺野さん。しかし家業を継ぐ際、織物という事業に限界を感じていたといいます。
--紺野峰夫さん(紺野機業場 5代目)「織物という事業はもう終わりかなと思っていた。でもお客さんからの残ってほしいという思い、そのあと押しだけでやっていけるんじゃないかという思いがございます。」
会社を支えているのが“お客さんからのあたたかな声”。その声に応えようと、紺野機業場では様々な製品が生まれています。それがこちら。淡い色と柔らかな肌触りが特徴のストールや、着けるだけで顔を華やかに彩ってくれるピアス。一度身に着けると、手放すのが惜しくなるほど人の肌にフィットします。さらに紺野機業場で作られた川俣シルクは日本だけでなく、世界にも羽を広げています。
--紺野峰夫さん(紺野機業場 5代目)「最近ですと、「YUIMANAKAZATO」さんというデザイナーに使って頂いて、パリ・オートクチュール・コレクションに発表させていただいています。」
ファッションの聖地、フランス・パリ。2023年に開催されたパリコレクションでは紺野機業場で作られた川俣シルクを使用したアイテムが発表されました。柔らかな雰囲気は残しつつ、力強さ、存在感がひときわ異彩を放っています。世界のファッションデザイナーも虜にする、紺野機業場の川俣シルク。それは100年以上の歴史と代々継承された技術が織りなす、唯一無二の製品です。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年11月21日放送回より)