■2日目は走塁を徹底指導「野球は曲線の動き」
2日目。グラウンドにやってきたイチローさんは整列する部員たちを見回し、荒井主将に語りかけた。

イチロー:どうですか?体と心は?キャプテン。
荒井:心はすごく満ち満ちていて、やる気満々です!
イチロー:ハハハハハ。いいね!
荒井:ただ股関節とか普段意識しない所を使ってたので、その部分が痛んでるというか。
イチロー:お、反応出てる?
荒井:反応出てます。
イチロー:いいじゃない!今までになかったことでしょ、それ。
荒井:そうです。
イチロー:どう、他のみんなは?今までと違う反応出てる人?
部員たち:(手を挙げる選手多数)
イチロー:あ、もうほとんど、全員ていう感じ。それはいいことだね。
まずは、イチロー流ウォーミングアップの伝授から始まった。一塁から三塁にかけて、ライン沿いを走る。「野球は曲線の動き、すごく効果的でイメージしやすいと思う」
イチロー:上半身はできるだけリラックスして腕を肩甲骨から振る。下半身は股関節を動かして足を引っ張るイメージ。それで回転していって加速していく。これらが組み合わさって効率よく動ければ、スピードも上がる。
肩甲骨や股関節を意識して走る選手たち。しかし意識し過ぎて、若干滑稽な感じの走塁に。思わず笑ってしまうイチローさん。「これは(初めてだから)しょうがない」
イチローさんが、何本か走ってお手本を示す。
イチロー:どう、51歳のおじさんの走りは?
部員たち:かっこいいです。
イチロー:きれいな走りを目指して。結果、それがスピードにも繋がるから。じゃ、ラストいってみようか。
今度は上手に走る選手たち。
イチロー:ナイスラン、ナイスラン、いいね!いいじゃない!
イチローさんの走塁講義は続く。今度は塁上でリードの仕方や体勢について。一塁の場合、二塁の場合、三塁の場合。それぞれの塁で、外野フライが上がった時の判断や様々な対応等々。
イチロー:ランナー一・三塁でダブルスチールはどう?サードランナーの判断。キャッチャーがセカンドに投げるか、途中カットに投げるかの判断、難しいよね。
部員:人によってまちまちです。
イチロー:そこはルールを決めてないんだ。判断する時は、止まって。真ん中で。守ってる時も同じ。センターで打球が落ちるかどうか、難しいよね。そういう時も、正面。伸びあがった状態で待ってたら動けない。