ファティマさん「世界は沈黙、何故?」、新たな目標も

ファティマさん
「今はとにかく安心しています。アフガニスタンでは、安全とは程遠い日々を送っていましたから」

パキスタンの首都・イスラマバードに到着したファティマさんたち。日本から進捗を見守ってきた瀬谷さんに、無事を報告する。

瀬谷ルミ子さん
「ハロー!よかった!やっと」
「旅はどうでした?」
ファティマさん
「国境を越えてから、子どもたちはすごく喜んでいました。車の窓からずっと外を見つめていました。アフガニスタンで潜伏生活を送っていたこの2年半は、どこにも外出できませんでしたから」

瀬谷ルミ子さん
「パキスタンに来て、まず何したい?」
ファティマさんの娘
「公園に行きたい」

瀬谷ルミ子さん
「本当に、長い…、退避した家族のなかで、一番アフガニスタンの中にいた期間も長かったので。育ち盛りの子どもがずっと部屋にいないといけないのが、どれだけのことかと考えると、子どもたちも相当頑張ったし、家族皆で頑張った」
「(ドイツの受け入れが決まるまで)引き続きサポートしていきます」

ひと月後、ファティマさんのもとを訪ねると…

ファティマさん
「パキスタンでの生活がいつまで続くのか、不安です。夫は子どもたちに『アフガニスタンに戻ろう』とさえ言い出していて、夜、眠れない日々が続いています」

最終目的地であるドイツからの受け入れに時間がかかり、先行きを案じ始めていた。うつ状態の夫を支えながら、息子の看病など、家族のサポートに奔走する日々を送っている。

ファティマさん
「これは、私が2年前に手掛けた本です」

見せてくれたのは、脱出の際に持ち出したという、数少ない所持品の一つ。潜伏生活を送るさなか、アフガニスタンの女性を取り巻く現状について書き綴った著書だ。

ファティマさん
「私は弁護士として、母国の女性たちに尽くしたい一心で、活動してきました。けれど、今の状況では自分を守ることさえ出来ないのが、とても辛いです」

“難民”としての現実を突きつけられる、ファティマさん。

それでも、同じような境遇に置かれたアフガニスタンの人たちのために、新たな目標を掲げている。

ファティマさん
「世界は、アフガニスタンの人たち、特に女性が抑圧されていることに沈黙しています。何故でしょうか?私は、どこの国に行っても、厳しい状況に置かれた祖国の人たち、とりわけ女性の権利を取り戻す活動に取り組みたいと思っています」