「安倍元総理の国葬」が近づく中、世論調査では反対意見が増加。そして、「旧統一教会問題」は自民党の「点検」の後も次から次に週刊誌に「関係」が出てきて・・・。「岸田内閣支持率」は急落の事態!どうすればいいのか。安倍元総理をもってして「自民党で最も政治技術を持った方」と言わしめた、二階俊博元幹事長に聞きました。
(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)
■日中国交正常化50周年 今後の中国との付き合い方は?

ーー9月29日、日中国交正常化50周年ということで、「平和であった50年、継ぐ未来の50年へ」と題する記念慶典が行われます。日中両国の代表的な企業50社の賛同と支援で開催。日本の各界を代表する1000人以上が一堂に集まり、最高顧問には福田元総理、そして二階元幹事長。中国から唐家セン中日友好協会会長や、御手洗元日本経済団体連合会会長という方々が就かれていますが、これはどんな式典になるんでしょうか?
二階元幹事長:
日中両国、田中角栄・周恩来、両首脳が共同声明に署名した日からの経過でありますから、お互いに来し方を振り返って、これからの未来を展望し、お互いに力を尽くすことが、両国の発展はもとより、世界の平和に欠かすことのできない存在であるという認識を双方が新たに心に銘記すべきときだと思います。
ーー日中関係といえば、二階さんの議員外交ということで、2015年5月23日、中国の度肝を抜いた3000人の経済関係者を連れての訪中。人民大会堂で習近平主席と会談、そして安倍元総理の親書を手渡したということですね。これはまだ総務会長時代ですね。
二階元幹事長:
そうですかね。

ーー2019年、北京を訪問して、また習首席と会談。これも安倍元総理の親書を手渡し。G20のときに習近平氏が来日することとなったということです。そもそもこの3000人、どうやって思い立ったわけですか?
二階元幹事長:
私は全国旅行業協会会長ということで、5200社あるんですよ、エージェントは。会長を長くやらせていただいていますから、みんなに呼びかければ、1社1人でも2人でも、もう3000人は優に越すわけですよね。
ーーこうやって習首席が頻繁に会うっていうのは異例なわけですけれども、二階さんの議員外交、どうやって実現したわけですか。
二階元幹事長:
隣近所の人との付き合いと同じですよ、国っていう大きなことでね、みんな硬くなって張り切ってしまう前にね、やっぱお互いの行ったり来たりですよね。
ーー最近こういう議員外交がなかなか行われないですが、その次の世代の若い方たちに議員外交で期待することはどういうことですか。
二階元幹事長:
我々の大先輩の金丸先生は我々に、『議員外交にはやっぱりお金がかかるんだよ。自分のお金で対外的な交渉をやる。そういう努力をやっぱりするべきだ』ということを金丸さんは我々に教えましたね。
ーー政府の立場ではできないことを議員がやると?
二階元幹事長:
「政府の使い」ではないんですよね。ですから、そういう新たな立場で積極的にやっていくっていうことが大事でしょうね。
ーー中国との関係で言えば、なかなか若い人が二の足を踏むっていうのは、いわゆる中国との関係に関していろいろやると、中国に媚びてるとか、媚中だとか、そういうのがネットで出たりするわけですけれども、それはどう思いますか?
二階元幹事長:
それは大したことを言ってるわけじゃないからこんなものを相手にする必要ないんだよ。媚中派とか言うけど、中国と話できなくてどうするんだと。言ってるお前は中国の誰と話できるんだと。中国のどの発言、どの態度が悪いって言うなら一言抗議にいけるかって、塀の外からわあわあ言っても向こうに全然聞こえないんだよ。聞こえない事を見越してね、思い切って自信持って言ってるんだけどそんな馬鹿げたことだよ。
ーーそして、日中関係50年ですが、この50年をどう振り返りますか。

二階元幹事長:
50年って言ったら長い年月だけども、大きく捉えたら、何でもない短い期間ともいえるんですね。中国、まずは当たり前のことだけど、大きいよね、広いよ。それから古い歴史がある。そういう国と対峙していくってということですから、こっちも相当の覚悟を持ってね、しっかりと対応していかなきゃいけない。幸いだけど、中国と日本との間に、言葉だとか言語、この中国との間に格別の関係がやっぱりあるんですよ。これはやっぱり、よその国と、英語やフランス語でやりあうのはちょっと違うね。見ただけで意味はわかるんだから。
ーーただ厄介なのは、アメリカと中国の対立ですね。台湾をめぐって、中国の「台湾封鎖」演習、元々これは、アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことに始まっているんですが、演習で弾道ミサイル11発発射、5発が日本のEEZに落下したと。このときは日中外相会談は見送ったと、このことをどうご覧になりますか。
二階元幹事長:
近い国ですからね、 いろんなことが起こるんですよ。ですから、そのことはそのこととしてね、十分外交的に、政府と政府との間で些細なことは解決すべきですけど、大きく言えば、日本と中国は切っても切れない間柄ですよね。中国はどうかわかりませんが、日本は中国なしにやっぱり国際社会でやっていけないでしょう。中国との関係っていうのは深いでしょう。こういうことをやっぱり忘れたらダメですよ。
ーー最近ではロシアのウクライナ侵攻とかがあって、それを見て日本国民の間では、中国が台湾を攻めるんじゃないかというような見方もありますが、その可能性について、二階さんはどうご覧になりますか。
二階元幹事長:
やっぱり外交をやっていく上においては、あちらも全方位でちゃんと考えてますよ。単純なことはしないと思いますよ。
ーー最近の話題では、岸田総理のコロナ感染に習主席が見舞いの電報を送ってきた。そんなことも起きているわけですね。今後の中国との付き合い方、そもそもこういう見舞いの電報など、どう反応すべきなんですかね。
二階元幹事長:
やっぱり日本を重視してる証拠ですよね。ですから、我々はアメリカを中心にこれから中国をはじめ、世界の国々とですね、みんな仲良くしていかなきゃいけないんですね。ですから、やっぱり青少年交流をして、次代、次の世代、お互いに幸せであるように、どうすべきかということを、今ある指導者はやっぱり目をくばるべきところでしょうね。
ーー米中の緊張が高まる中で、国内的には防衛費を増強しようと。現在GDP1%程度、約5兆円規模なのをNATO並みに2%を念頭に増やしていこうという議論があって、岸田総理も相当な増額をするというようなことを言っているんですけど、この議論をどう考えますか。
二階元幹事長:
やっぱり一定の防衛力は持っておくこと、それに越したことないですね。防衛は戦争するための防衛力じゃなくてね、戦争しないための防衛力ですよ。