「何度呼びかけても目を開けてくれず眠ったままだった」遺族が悲痛な心境を語る

亡くなった上田優貴さん

11月6日、東京都千代田区で開催された「過労死等防止対策推進シンポジウム」では、優貴さんの母親・上田直美さんが登壇。時に涙をこらえながら、現在の胸の内を語りました。

上田優貴さんの母親・上田直美さん
「息子は2021年1月20日からタイに赴任。『ゴールデンウイークが終わった頃には帰ってくる予定』と連絡があり、帰国を楽しみにしていました。その矢先、5月1日に会社から1本の電話がありました。『昨日、30日の14時ごろ、息子さんが現場で転落して亡くなりました』。私は言われている言葉の意味がわからず、何も考えられない状態でした」

「ゴールデンウイーク後に帰ってきた息子は、大学生の時のままの寝顔でした。よほど疲れたのでしょう。何度呼びかけても目を開けてくれず、眠ったままでした」

「息子のノートから、会社のシフト表以上に働いていたのではないかと思い、やっとの思いで、今お世話になっている弁護団の先生方にたどり着くことができました」

「会社側は手すりを乗り越えた様子が映っている防犯カメラの動画を持っていたにもかかわらず、『通常の転落事故として労災申請をしたい』と申し出てきました。息子に嘘をつくことは、親としてできるはずがありません」

「第三者委員会の調査報告書には、『自死によるものか、偶然の事故によるものかは認定ができなかった』と記載され、防犯カメラの動画が委員会へ未提出だったことが判明しました。遺族としては、許しがたい気持ちです」