「ゴールデンカムイ」が示すWOWOWの新機軸とは

 WOWOWの新しいアプローチの象徴的な作品として、「ゴールデンカムイ」があると思います。企画が決まった経緯をお聞かせください。

山本 「ゴールデンカムイ」は、映画とドラマをセットで制作するという、WOWOWならではの企画です。実は原作元には、多くのオファーが来ていました。その中で我々が選ばれたのは、映画とドラマを使って原作の世界観を丁寧に描き切るという提案が評価されたからのようです。これは、WOWOWだからこそできる挑戦だと自負しています。

 この作品は、WOWOWにとってどのような意味を持つとお考えですか?

山本 WOWOWの新たな可能性を示した作品だと考えています。アイヌの文化や歴史、食文化など、多面的なテーマを持つこの作品は、現代のダイバーシティの時代にも通じる深いメッセージ性を持っています。同時に、エンターテインメント性も高い。この両立が、私たちの目指す方向性です。

WOWOWだからこそ、深いテーマ性を持つ作品に挑戦できる。そして、それを多くの人に楽しんでもらえる形で提供できることが、我々の強みだと考えています。

 「ゴールデンカムイ」は、これまでのWOWOWのドラマとはかなり毛色が違う印象を受けます。この変化には、どのような狙いがあるのでしょうか?

山本 おっしゃる通り、従来のWOWOWドラマは大人向けのサスペンスや企業ドラマが中心でした。しかし、「ゴールデンカムイ」は冒険活劇。そこには、新しい視聴者層の獲得という明確な狙いがありました。

我々は、常に新しい挑戦を続けていく必要があります。「ゴールデンカムイ」は、そんな我々の決意を示す作品なんです。

 制作面でも新たな試みがあったと聞いています。

山本 その通りです。「ゴールデンカムイ」の制作では、クレデウスという制作会社とタッグを組みました。彼らは「キングダム」や「銀魂」など、大型活劇の経験が豊富です。

実は、クレデウスの社長は元WOWOWの社員でした。彼らが持つ大型活劇のノウハウと、WOWOWが培ってきた質の高いドラマ制作の経験。この組み合わせが、「ゴールデンカムイ」の魅力を最大限に引き出したと考えています。

“ドラマ版”「ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編」 ©️野田サトル/集英社 ©️2024 WOWOW