以上のほか、被告人は、勾留中、被害者遺族に対する謝罪文を作成する傍らで、不倫相手に対し恋文を送っていたほか、公判廷において、2名殺害の事実自体は認めつつも、殺人未遂及び殺人予備等に関しては不合理な弁解を繰り返し、自己の責任を矮小化しようとする態度に終始しており、自己の犯した罪の重大さに真摯に向き合っているとも言い難い。
被害者遺族は、理不尽な経過で、愛する家族2名を奪われたことはもとより、このような犯行後の著しく不誠実な態度や公判における身勝手な言動によりその心情は踏みにじられている。妻の実母は被告人に対して二度死んでほしいと悲痛な心境を述べており、遺族が極刑を求めるのも至極当然である。
先にみた犯情の悪質さを主としつつ、このような事情も踏まえれば、被告人の父が被害者遺族に合計390万円の被害弁償をしていること、被告人の父が出廷し今後も被告人に関わっていく旨述べていること、被告人が2名殺害の事実自体は認めていること、前科前歴がないことなど、被告人に有利な事情を最大限考慮しても、本件に関しては、有期懲役刑を選択すべきとは到底いえず、被告人を無期懲役刑に処することが相当である。
よって、主文のとおり判決する。
判決が読み上げられている間、遺族席からはすすり泣く音が聞こえてきました。
微動だにせず、判決を飲み込むように聞いていた渡辺被告。
被告側は、12月4日付で控訴しています。
