どこでも設置できるペロブスカイト太陽電池に期待
ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽いので、木造建築物の屋根はもちろん、壁などにも設置することが可能だ。しかも、フィルム型は曲げることもできるので、さまざまなスペースを有効活用できる。実証実験でも、問題なく発電ができている。

役場の外に設置された太陽電池とモジュールは、東芝エネルギーシステムズが調整を行うために一旦撤去し、9月以降は役場の庁舎内に設置して屋内での発電に切り替えた。将来的にはガラス型のペロブスカイト太陽電池の活用も視野に入れている。
ペロブスカイト太陽電池の課題は、発電効率を上げることと、耐久性を向上させることだった。実証実験の段階に入ったことでその課題はクリアされつつあり、メーカーによっては2025年中の事業化を目指している。さらに、2020年代後半には、量産化される可能性もある。太陽光発電のあり方が、大きく変わろうとしているのだ。
大熊町は現在、震災前は街の中心地だったJR大野駅周辺で、大規模な再開発を進めている。産業交流施設や商業施設が建設されているほか、宅地や賃貸用住宅も整備され、再開発地区は新たな復興拠点として2025年3月にオープンする予定だ。

この再開発された地区でも、メガソーラーなどで発電された電力が使われる。さらに、ペロブスカイト太陽電池が実用化されれば、将来的に大熊町全体の電力を再生可能エネルギーで賄うことも現実味を帯びてくる。新たな技術は原発事故被災地の復興にも影響を与えそうだ。
(「調査情報デジタル」編集部)
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。