次世代の太陽電池として注目を集めるペロブスカイト太陽電池。福島第一原発が立地する町が実証実験を始めた理由とは。「シリーズSDGsの実践者たち」の第37回。

実用化が期待される次世代型太陽電池

ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験が国内各地で始まっている。この太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる特殊な結晶構造を持つ材質を使ったもので、次世代の太陽電池として早期の実用化と量産化が期待されている。

現在主流となっているシリコン型太陽電池と比べ軽量かつ、製造工程が少なくてすむ。薄くて軽いフィルム型と、窓ガラスの代わりに設置できるガラス型、それにシリコンとペロブスカイトを重ね合わせたタンデム型の3つがある。

特にフィルム型は、プラスチックなどに印刷することで製造が可能で、曲げることができるのが大きな特徴だ。フィルム型の研究開発では日本がリードしているほか、日本はペロブスカイトの原料となるヨウ素の生産量が世界第2位を誇ることから、国内の複数のメーカーが開発に乗り出している。

また、実用化に向けた取り組みには国や東京都などが補助金も支出していて、現在は開発しているメーカーが自社の設備などで実証実験を始めている段階だ。

このペロブスカイト太陽電池の実証実験が、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地でも行われている。その場所は、東京電力福島第一原子力発電所が立地する福島県大熊町だ。