野党候補は三つ巴で票が分散、数少ない“生き残った安倍派議員”に

一方、「自民党は公明党や業界団体の固まった票からは伸びない。自分たちは街頭に立って票を増やす」と対抗していた日本維新の会・阿部司氏の陣営。
維新幹部からは「東京の小選挙区で唯一勝てる可能性があるのは阿部司だ」と期待が寄せられていたが、結果は2位。
比例復活当選となったものの、小選挙区では敗れた。

陣営は「立憲(民主党)の候補が出ない分の票を取り込みたい」と浮動票の獲得を狙っていたが、他の野党候補にも分け合うこととなった。

国民民主党から出馬した大熊利昭氏は、党の全国的な追い風を受け、終盤にかけて票を伸ばした。
維新・阿部氏の陣営幹部は「地元の人たちに話を聞いたが、『維新は兵庫県知事問題など、内輪揉めをしていてイメージが悪いので、国民(民主)に入れた』という声が結構あったようだ」と党全体への逆風の影響があったと分析する。

また北区は、立憲の区議が4人である一方、共産党から7人が選出される(※都議補選出馬のため1人が退職し、現在は6人)など、共産への一定の支持基盤がある。
その上、立憲候補が出馬しなかったことで、立憲支持層の一部は、共産党・田原聖子氏に流れたとみられる。

こうして野党票がバラバラで固まらず、得票率はそれぞれ20%〜25%と三分された一方、高木氏は約33%(約68000票)を獲得した。

先の総裁選で高市氏の支持に回った多くの安倍派議員が落選する中、勝利を収めた高木氏。
自民党が歴史的大敗を喫し、既に「ポスト石破」の名前が取り沙汰されている。
高市氏による選挙応援を受けた高木氏が、今後はどのように国政で高市氏を支援するのか、注目される。

TBSテレビ 「報道1930」ディレクター
岩本瑞貴