「事実かどうかは重要ではない」

スプリングフィールドの住民
「向こうの公園から野鳥が消えたわ」
「写真が証拠だよ」
“ハイチ移民が公園の野鳥を食べている”という噂です。

こちらが根拠のひとつとされる写真。ハイチ移民が野鳥を食べる為に運んでいる様子だというのです。
記者
「こちらには鳥が多くいます。割と普通に多くいるように見えます」
私たちは、地元住民約50人に話を聞きましたが、ハイチ移民が公園の野鳥を食べているところを見たり、具体的な情報を聴いたりした人はいませんでした。
アメリカメディアも「根拠のないフェイク情報だ」としていますが、専門家は事実かどうかはもはや重要ではなくなっていると指摘します。

ミシガン大学 クリフ・ランピー教授
「特定の人々に対する否定的なイメージを裏付けるような話は、ネット上で大きな話題になりやすい。これは移民が起こしうる問題を分かりやすく示す例でした」
「アメリカは好きですか?」多様性の国 行方は
一方でハイチ移民を支える動きも広がっています。

住民ボランティアによる英会話教室。ハイチの公用語はクレオール語とフランス語で、英語でコミュニケーションできる人は少数です。まずは言葉を理解して摩擦を減らし、地元住民とハイチ移民が共存することを目指しています。
しかし、トランプ氏はアメリカ史上最大の強制送還を掲げていて、先行きは見通せません。
“移民がペットを食べる”などと根拠不明のうわさが広がる、今のアメリカ。ハイチ移民のジーンさんは、実際に相手と向き合い、互いに理解しようとする姿勢が必要だと考えています。
ジーンさん
「これからハイチ料理を味わいますよ」

記者
「白身の魚ですね。おいしい!ベリーグッド」
ジーンさん
「イヌやネコなんて食べるはずないよ」
ジーンさんの目標はハイチで暮らす息子(3)のために教育資金を貯めること。エアコンの部品工場で働き、家族への仕送りを続けていますが、選挙結果に左右される未来が待っています。
ジーンさん
「(Q.アメリカは好き?)ここに住んでいるので、“好き”と言うべきなんでしょう。でも、帰国できるのであれば、国に帰ります」
多様性の国・アメリカは、これからどこへ向かうのでしょうか。