EV充電器 増やすカギは… 「テラチャージ」の成長戦略

実はこのEV充電器。設置するにあたって、施設側の負担はゼロだという。施設側の負担がかからないというテラチャージのEV充電器。6kWの普通充電器の場合、利用料金は1時間ごとに400円。テラチャージが電気代の125円を施設側に支払い、残りの275円はテラチャージの取り分になる。

また6kWの普通充電器の設置には、1基当たり100万円の費用がかかるが、4分の3は補助金を使用し、残りをテラチャージが負担する。施設側が設置費用や維持費用を負担することは原則ない。

――場所さえ貸してくれれば無料で設置するビジネスと聞いた。

テラチャージ 徳重 徹社長:
最初は補助金(申請)を代行し、補助金で(設置施設が)で確保される面もあるが、説得の時間とお金、営業マンのコストがかかる。思い切って無料にして、設置も維持費もかからないとやった方が、営業コストとかマーケティング費用がかからない。そういう計算もあり、すぐに導入することが重要。

――テラチャージが作って、維持している。それで儲かるのか。

テラチャージ 徳重 徹社長:
最初は、もちろん補助金を活用したとしても、足が出る。実際の利益の出し方としてはEVユーザーが増えてきたときに、EVユーザーが1時間いくらで使って、その収益で中長期的に積み上げていく。すぐに利益を出そうとするモデルではない。10年は使うものなので、場所を取ることを逃してしまうと、もう後がない。「EVがこれから本当に普及しそうだ」と後からなるが、そしたら時すでに遅い。同じようなビジネスをやろうとしても、すでにもう占められている。

東京都では、条例により2025年4月から、新築マンションにEV充電器の設置が義務化される。賃貸マンションを管理する企業は「当社の保有している(マンションの)駐車場の問い合わせでもEV電源施設はあるかという問い合わせが徐々に多くなってきている。今後EV電気施設がない物件は、資産価値としては低くなっていくのではないか」という。

テラチャージが展開する充電器は、マンションやホテルなどに設置される「普通充電器」のほか、道の駅やサービスエリアなど、短時間で充電を行う「急速充電器」がある。家電量販店のコジマでは、2024年6月から急速充電器を設置している。コジマは「主要幹線道路沿いに多く出店しているため、車で来店する客が多い。買い物に来た客が、買い物の間に充電をする。充電に来た客が待っている間に買い物するなど、メリットがある」という。

――「EVの普及は思ったほど早くない。やはりハイブリッドだ」という雰囲気になってきているような気もする。

テラチャージ 徳重 徹社長:
今の足元でいうと、そういうことにはなっていると思う。だからといって、未来永劫ずっとハイブリッドなのかとか、ずっとガソリンなのかとかは、違ってくると思う。中長期で見たときには、EVのパーセンテージが相当数増えていく。

テラチャージ 徳重 徹社長:
チャージのビジネスも既に、インド、インドネシア、タイで展開している。例えばタイでは、EV車の新車販売に対する比率が、2年前が0.1%。去年1%で10倍。今直近月次では10%超えている。なぜEVを買うのと聞くと、皆さん口を揃えて言うのが「ランニングコストが3分の1」。走れば走るほど節約できる。日本は「EV1対ガソリン3」。ポイントは売れる車体が出るか。あとは価格だけ。価格がだいぶこなれてくれば、買う人は多いと思う。

――電欠に不安がある。何かあったとき困るじゃないかと。

テラチャージ 徳重 徹社長:
充電インフラはすごく重要なのが、実際使ってもらうっていうのもあるが、特に日本人は心理的な不安を一番気にする。(充電器が)あるので大丈夫だという安心材料の意味でも大事。

――EVの世界で、起業家としてやっていきたいという思いが、今も昔も変わらない?

テラチャージ 徳重 徹社長:
社会インフラの領域でスタートアップがちゃんとプレゼンスを出していくのは、これからの日本経済にとってもすごく大事なことだと思うし、テラチャージの存在意義だ。新しい産業で、世界で圧倒的に勝っている会社はまだほとんどない。まさに大リーグでは大谷ではないが、そういう事例を作っていかなければいけない。山口県出身なので、高杉晋作の気持ちもある。野球も好きでやっていたので、野茂英雄の気持ちもある。とにかく大変だが、我々が突破するということがすごくある。スタートアップ業界の者として実現したい。