EV普及のカギは価格と充電器 勝機は?ベンチャー企業の挑戦

充電器は一つ入ると、もう別のところは入ってこれないので、今のうちにいい場所全部取っておきたいという作戦。世界では大きな国でも2~3社で市場を寡占する。ITなどと似ている。だからこのタイミングでやっているという。この充電器、どんなものがあるのか。

「普通充電器」と「急速充電器」があるが、「普通充電器」はマンションなどに設置する3kWと、ホテルやゴルフ場などに設置する6kWタイプがある。そして道の駅や公共施設などには「急速充電器」を設置している。

――このビジネスモデルをどう見るか?

千葉商科大学教授 磯山友幸氏:
非常に面白い。ただ、今は利益が出ていないが、場所を取ることを最優先にしている。これは一種の賭け。ガッと普及してきたときには全部抑えられてるという。これはなかなか面白い。ちゃんと普及率がそこまで上がるかどうかがポイントだと思う。

――人々がたくさん使ってくれないと収益が上がらない。先に設置も維持費も、会社が負担してやっている。だからそのスピードがどれぐらいになるのかということだ。

千葉商科大学教授 磯山友幸氏:
あとは実際にそこから得られる利用料。競争が激しくなるとどんどん下がっていくが、下がる前に回収ができるかどうか。

EVが普及しないのは充電器がないからなのか、あるいは充電器がないからEVが普及しないのか。理由について見ていくと、最も多かったのが「充電ステーションが少ない」という理由。さらに「車体価格が高い」という声も多くあった。また「航続距離に不安がある」「自宅での充電が難しい」「電欠が怖い」などが続く。

――EVを何となく避けてるという理由は大きく分けると、「高い」というのと、「充電に関わること」。そこへの心配がEV普及のネックになっている。

千葉商科大学教授 磯山友幸氏:
長距離乗るときに、本当にちゃんと充電できるところがあるのかどうかと考える。だから充電できる場所が普及するのは先ではないか。先でないとEVは普及しないのかもしれない。

徳重社長は、2010年代に日本で電動オートバイを出して大変注目されたアントレプレナー。日本国内での電動バイクはなかなか普及せず、海外で展開している。だから「ビジネスはタイミングが大事」ということを繰り返し言っている。「充電のインフラは今がまさにそのタイミング」と話す徳重社長。果たして、これから普及が進むかどうか注目だ。

(BS-TBS『Bizスクエア』 10月26日放送より)