生きていたいが 「激痛に耐えられない」

ラファエルさん スペイン・バレンシア

電動車椅子に乗って、私を笑顔で自宅に招き入れてくれたのは、ラファエル・ボテラさんだ。19歳の時に交通事故に巻き込まれて、首から下を動かすことができなくなった。

「四肢麻痺になったのは、自分の忍耐力と使命感を証明するための試練でした。目の前の苦難を絶対に乗り越えてやろうと思いました」

明るく快活な人柄で、事故後にパラシュートで空を飛んだり、自身の人生を描く短編映画を作成したりするなど、旺盛なチャレンジ精神を持ち合わせている。目を輝かせて、私に自身の写真や映画を見せてくれる姿を見ると、重い障害がある事実を一瞬、忘れてしまうほどであった。

生きることに強い意欲を見せるラファエルさんだが、20代後半から耐え難い痛みに悩まされるようになった。「蟻地獄にひきずりこまれたような強い痛み」が胃から全身に広がり、1日中、眠ることができない日もあるという。

「目の前に拳銃があれば、痛みから逃れるために間違いなく引き金をひきます。自分でできなければ、それを介護する母親に頼んだでしょう。四肢麻痺だけならば我慢できますが、激しい痛みには耐えられません」