撮影期間も十分に確保 予算は…
境 「極悪女王」の安全面はわかりやすい例ですが、Netflix作品ではすべてに渡って万全だったと関わった人は言っていますね。
髙橋 クリエイターやスタッフの方にそう言っていただけるのであれば何よりです。特に「極悪女王」のイベントで白石監督が「自分が死ぬ前に見たいと思う自作は『極悪女王』だと思う」と言ってくれたのは本作に出演してくれた俳優の皆さんの思いも背負ってくれたコメントで、とても嬉しかったです。
クリエイターの皆さんが何をやりたいのかと、そこに僕たちが共鳴したときに、それを成し遂げるのにベストな方法を、制約を取っ払って考えられるのはすごくいいことだと思います。
境 スケジュールも十分に確保されていたと、出演者たちがラジオなどで語っていましたね。
髙橋 全スタッフ全キャストが人間的に正しく生活しながら作品に向き合うには撮影期間も十分確保する。これは大きいですね。
日本では24時間撮影することも、ある種の美徳のように語られてきた時代もありましたが、僕たちはそう考えません。スタッフの皆さんに気持ちよく仕事してもらうために何が必要なのか、制作環境もですが技術的な要素も、ひとつひとつ積み上げている段階かもしれない。
境 予算も上限なく使える、ということでしょうか?
髙橋 当然、経済活動をしている会社ですから適正な投資規模は考えます。ただ全てをデータ上で決められるものではないですよね。クリエイターの皆さんと僕たちが考えた以上の驚きをお客様に感じていただけるレベルに到達したい。そのために基準をどんどん上げていく感覚は必要だと思います。そこに対して挑戦をさせてくれる会社です。
さらに、そのバーを超えられなかった時には、なぜ超えられなかったかもノウハウとして蓄積して、次の作品に活かす。いい意味でデータと直感のバランスを、クリエイターの皆さんと一緒に探しています。面白いと思ったことを実現するために何をすればいいか、作品ごとに積み上げながら開発することができる、その環境はいいなと感じています。