時代劇?SF?それともコメディ?―――自主制作映画『侍タイムスリッパー』が口コミでブレイクしている。上映館は全国250を超えた。インディーズ映画好きを自認するRKB毎日放送の神戸金史解説委員長が、この映画の持つ魅力を、10月15日放送のRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』で熱く語った。
幕末の武士が時代劇の撮影所にタイムスリップ!

映画『侍タイムスリッパー』を観てきました。幕末の京都にいた会津藩士がタイムスリップしたのは現代。京都・太秦にある時代劇の撮影所だった、というコメディです。「自主映画で時代劇を撮る」という、チャレンジングな企画で、制作費はすごく低予算なのですが、快進撃を続けています。観に行った日の劇場もほぼ満員でした。
今年8月に公開されたときは東京での単館上映でしたが、口コミで人気が広がって上映館が増加していて、ホームページによると、10月8日現在で上映館は全国251館にまで広がっているそうです。動員数も22万人、興行収入3億円を突破しています。
福岡県では9月から上映が始まっていましたが、10月11日からは北九州市のT・ジョイリバーウォーク北九州、小倉コロナシネマワールド、イオンシネマ戸畑、イオンシネマ大野城、ユナイテッド・シネマトリアス久山、佐賀県ではイオンシネマ佐賀大和と、どんどん上映館が増えています。
脚本の面白さに京都撮影所が特別協力

監督の安田淳一さんは、本業が米農家。大学卒業後にビデオ撮影業を始め、幼稚園の発表会からブライダル撮影会、イベントの仕事での演出などをしていたのですが、2023年に父親が亡くなり実家の米作りを継いだということで、自主映画としては今回3作目です。
自主映画は自分たちで何でもやらなければいけません。今回は(1)監督、(2)脚本、(3)原作、(4)撮影、(5)照明、(6)編集/VFX、(7)整昔、(8)タイトルのデザインとCG製作、(9)現代衣装、(10)車両、(11)制作など、1人で11役を務めました。エンドロールに「車両」と出ていて、笑っちゃいましたね。さすがインディーズ映画です。無名の監督作品という情報を覆す作品の完成度の高さに、話題が沸騰しています。
【ストーリー】
時は幕末、京の夜。会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ少しずつ元気を取り戻していく。やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩くのであった。「斬られ役」として生きていくために…。
「脚本がとにかく面白い」ということで、東映京都撮影所が特別協力しました。