うまい話はない、事前の相談を
闇バイトの多くは、「物を運ぶだけ」「お金を受け取るだけ」「電話をかけるだけ」など、簡単なものです。しかしこれは特殊詐欺に協力することです。特殊詐欺は重い罪に問われる行為であり、中高生でも逮捕・勾留されて少年鑑別所に送られ、少年院送致されることがほとんどです。
「リスクがない高収入なバイト」などのうまい話はないこと、SNSでは闇バイトが多いこと、重い罪に問われることなどを教えましょう。
アルバイトはSNSではなく、求人サイト等で探すほうが安全です。また応募する前に、仕事内容や求人情報などが問題ないものかどうか周囲の大人に相談したり、インターネットで評判を調べたりすると安心です。
今回ご紹介したトラブルや事件はすべて、ニュースなどで報道されています。つまり、普段からニュースを見たり読んだりすることで、あらかじめ危険に気付けるようになる可能性が高いのです。
しかし、10代はニュースをほとんど見ていません。周囲の大人がこのような事件などをニュースで見かけるたびに、安全な使い方について話し合うことで、このようなリスクは防げるはずです。
今回ご紹介したことで、「SNSは怖いものだから使わせたくない」と考えた方もいるかもしれません。しかし、SNSを使わないと連絡ができないことも多く、10代がSNSを使わないことは現実的ではありません。使うことを前提に、どのように使えばリスクが抑えられるのか、適切な使い方を知るべきなのです。
<執筆者略歴>
高橋 暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト。成蹊大学客員教授。
SNSや情報リテラシー教育が専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情に詳しい。東京学芸大学卒業。東京都で小学校教諭、Webの編集者などを経て独立、現在に至る。
『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)『子どもにケータイもたせていいですか』(インプレスジャパン)など著書多数。
全国の小中高校大学、自治体、団体、企業などを対象に毎年 50回ほどの講演・セミナーを行っている。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。