二酸化炭素排出量が見える公共交通機関アプリ

パリ2024大会ならではと言えるアプリがもう一つあった。それは公共交通機関を案内するアプリだ。

公共交通機関を案内するアプリ

現在地と行き先を入れると、さまざまなルートを知らせてくれる。これだけであれば、グーグルマップなどのアプリと変わらない。大きく違う点は、ルートごとの二酸化炭素排出量が表示されることだ。

ルートごとに二酸化炭素排出量を表示

地下鉄や路面電車など、鉄道の種類によって排出量は異なる。選んだルートの排出量は27グラム。その下に、ガソリン車を使って移動した場合の排出量が1785グラムと表示されることで、排出量の違いがよくわかる。

また、同じルートで1年間、ガソリン車の代わりに公共交通機関を利用した場合の排出削減量も表示された。電気自動車のバスや自転車、徒歩など、もっと排出量を抑えてアクセスができるルートがあれば、その方法を勧めてくる場合もある。

日本でも一部の乗り換え案内アプリで二酸化炭素の排出量が表示されるものがあるものの、このアプリはより詳しく表示して、排出量の少ない行動を促すところまで踏み込んでいる。

大会組織委員会が提供しているアプリとは別に、タクシーを呼ぶアプリでも二酸化炭素の排出量が表示されていた。しかも、最初にお勧めの選択として出てくるのは電気自動車のタクシーだった。アプリによって二酸化炭素排出量を抑える移動を促すのは、コンパクトな大会運営の狙いの一つでもあったのだろう。

パリ2024大会では、多くの会場がパリ市内の中心部に開設された。パリ市内では自転車専用道の整備や延伸が進められていて、シェアサイクルを活用して、競技会場と観光を楽しむことも可能だった。気候変動対策に取り組むパリの強い姿勢は、誰の目にも明らかではないだろうか。

シェアサイクル