44年後に新たな証拠が
重い再審の扉。ところが、弁護団に一筋の光が射す。
取り調べの録音テープや供述調書など、約600点に及ぶ証拠を2010年から検察が開示したのだ。この頃、刑事訴訟法の改正を受け、証拠開示の流れが進んでいた。
そして、こんな重要なものが出てきた。

袴田事件弁護団・小川秀世弁護士(2010年会見)
「カラー写真撮ってるんじゃないですか。今までカラー写真は出ていなかったんですよ」
あの「5点の衣類」のカラー写真だ。


弁護団は思った。「1年2か月もみそに漬かっていたにしては血痕が赤すぎる」。
弁護団は、血のついた衣類を、実際に一年以上みそに漬ける実験をした。
すると、血痕は黒っぽく変化した。弁護団は「『5点の衣類』の血痕に赤みが残っているのは、捜査機関が自らみそタンクに入れ、直後に発見されたため」と主張した。