“裏金”公認、経済政策、アジア版NATO…石破政権の試金石は「政治改革」

――派閥がない中での政権運営は。
白鳥浩 教授:
派閥はもう一度新しい形で、それこそ政策集団のような旧来とは違う形で徐々にグループができていくと予想できます。やっぱり何らかの集団に常にサポートされていなければ政権は非常にあやふやに、危なくなってしまう。特に石破さんの場合はかつてあった自分の水月会を解散してしまっているわけで、ここから自分を熱烈に支持してくれるグループをどう作っていくかが一つの課題なんですね。やはり多数派を形成しないと。民主主義なのでやはり数の力というのはあると思うんですよね。
石破さんが一番期待されているのは「政治とカネ」なんです。岸田政権のときに政治資金規正法を改正したわけですが、国民の多くが不十分だったと思っている。石破さんは選挙戦で「裏金議員を公認しない」と打ち上げ、投票の間のスピーチでも「ルールを守る自民党」と言っていたわけで。ある種この政治とカネについてどのようにルールを守っていくのか、あるいはどう改革していくのか、今回問われている。石破さんはずっと政治改革をやってきて「政治改革男」と言ってもいいわけですけれども、やっぱりそこが求められていてそれができなければ政権は支持を落としていくだろうと。そこが試金石になってくると思います。
――迫る総選挙で「裏金議員」を公認するかは。
白鳥浩 教授:
裏金に関係している議員をどう処遇するのかというのがこれから非常に重い問題で。ただもし公認しないと党内の亀裂が生まれてしまうんですね。高市さんと石破さんで決選投票もやって、高市さんは保守側で、石破さんはどちらかというと党内のリベラルに支えられている。それをどう融和していくかというのが大きな課題。政治とカネについて裏金議員についてどう対応するか、ある種ジレンマの中で政権ができていくというのが、今回の一つの見せ場だと思うんですね。
――高市さんに比べ「石破さんは経済政策に弱い」という声も。
白鳥浩 教授:
一つの軸は「アベノミクスを維持するかどうか」なんです。高市さんは安倍さんが最後に総裁候補として選んだ政治家ですので、基本的にはアベノミクスから動けない。むしろ今、日銀の政策も徐々にアベノミクスから離れつつあるわけですけども、それを戻そうという経済政策を持っている。それに対して石破さんはむしろ岸田さんに近い財政再建路線を取っていくんだろうと思います。ただ、例えば金利が上がっていくとサラリーマンの住宅ローンも上がっていきますし、財政再建のためには増税もうまくやっていかなきゃいけないといういくつかのハードルがある。それをどうするのかが今後の課題なんだろうと。
「防災省」創設の訴えは、非常に時代にマッチしたことを言ってるんじゃないかと思うんですよね。初めは防災「庁」から始まって、それを「省」として独立させるというのが今後どうなるのか。もう一つは外交安全保障の話もあって、今日の記者会見ではアジア版NATOとか、基地協定を見直す、自衛隊をアメリカで訓練するみたいな話も出てました。それは果たしてどこまでできるのか。言ってる手前、出来なかったらマイナスになってくる。アメリカがなんて言うのか、ですよね。