貧困への支援「なりたいと思う人間になってほしい」
そんな彼女は今、首都ヨハネスブルクにて夫と11歳の娘と幸せに暮らしている。
「夫とはジムで出会ったの。向こうが一目惚れしちゃって」
夫はイタリア系の白人。「雑婚禁止法」があったアパルトヘイトが続いていれば、一緒になることは叶わなかった2人だ。
子供好きのマンポはいつか親になりたいと思っていたが、子供に恵まれることはなかった。
長年夫婦で不妊治療を続けた末、養子縁組で子どもを迎える決断をした。
緊張と不安の中、自分の娘となる赤ん坊を迎え入れた。

初めてその子を抱いた時、乾ききったマンポの心に、恵みの雨が降り注いだような気持ちになった。
ひび割れた大地を潤し、豊かさもたらしてくれる「雨」のような存在。
新しい命の名前にふさわしいと思った。
娘を、「レイン」と名付けた。
マンポの胸元には、日本語でその名前が刻まれている。

「彼女の母になれたこと、夫の妻になれたことは、間違いなく人生で起きたもっとも素晴らしいことでした。でも、娘からは『なんで天気なんかの名前にしたの』としょっちゅう怒られるよ」
昔と同じように、鼻にしわを寄せながらいたずらっぽく笑った。
マンポは、これからの南アフリカがレインちゃんの誇りに思えるような国であってほしいと願う。
「偏見や抑圧を感じることなく、なりたいと思う人間になってほしい。自分の娘だけでなく、すべての南アフリカの子どもたちがそうなれるよう願っている」
そんなマンポは今、南アフリカ国内で貧しい子供たちが通う学校を援助している。
普段映画やテレビの中にいる彼女が学校に顔を出すと、子どもたちは嬉しそうにはしゃいだ。自らの俳優としての「価値」をこうしたところで発揮するマンポの心は、「恵まれない人のために働きたい」と願い奮闘した10代の頃と変わっていなかった。

自分が受け取ったたくさんの愛を、子どもたちに返したい。
一人一人が平等な機会に恵まれれば、きっとこの国の未来も変わっていく。
そう信じている。
