「怪我した人は実は強くなる」4年前の気付き

イチロー:
51歳に来月なります。おじいです。おじい、みんなのお父さんよりも上だと思います。でも続けてたら出来るんです、出来るんですよ。元プロ野球選手が例えばこの試合に向けて1週間だけ練習してやったらもう確実に怪我します。でも僕はずっとやっているので。まあ不安…今日はなんかそういう感触はなかったね。だから続ける事、すごい大事です。

 でもオーバーワークはケガにもつながるんでね。それはいいところで止めてほしい。それはもうもう自分にしか分からないことなので。オーバーワークだと、そういう時期も必要だけれど、基本的には追い込む時期じゃなければ、今日これ以上やるとなんか嫌な感じだなというのが感じられる体だといいよね。それはもう怪我の一歩手前で、それを回避できる能力の一つなので。無理して無理して怪我はダメね。

 また難しいのはさ、怪我しないと怪我の感触を分からないっていうところもあるから、怪我した人は実は強くなるっていうことも言えるんだけど。僕はだからもうほんと怪我をすることは、ケガが少ない選手だったんだけど、第1回目の女子この東京ドームじゃなくて第1回目が神戸の寒い中でやった時に147球を投げて肩を痛めた。もう生涯初めてです。それが4年前。無理するとこうなるんだって。まあその試合は実はもう、一度もブルペンにも入らずに…もちろんキャッチボールだ、ランニング、バッティングでやっていたけれども、マウンドから一切、投げずにそれをやったら肩を怪我した。

 そういう苦い経験があって、マウンドから投げるって、フラットのグラウンドで投げるのと全然負担の違うんだな、でも投げている時はわからなくて。結局の半年ぐらい苦しんだんだけど、それがその経験したから肩について注意深くなれているっていう所はあるんだけど。その怖さを知らないと俺、どこまででも行けるわって、やっちゃうと、こういうことになるんだなって…だから意図的に怪我をする必要は全くないんだけど、怪我はどうしたってアスリートにつきものなんで。怪我てしまったら、それをどう生かすかがすごい大事なことだからね。その後に生かす。その時しんどいけど、リハビリもしんどいけど、大きなそれは武器と言えば武器だね。痛みを知っているとか。