「冬らしい冬となる」その根拠は?

こうした予報となっている根拠の一つが、ラニーニャ現象です。ラニーニャ現象は南米ペルー沖の太平洋の海面水温が、平年よりも低くなる現象のことで、2023年の春から2024年の春までは、逆に平年よりも高くなるエルニーニョ現象が発生していました。9月10日に気象庁が発表したエルニーニョ監視速報では、「冬にかけて平常の状態が続く可能性もあるが(40%)、ラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)」とされています。

2024年8月の海面水温の平年差の図。南米ペルー沖の緑色楕円で囲んだエリアの海面水温が平年よりもやや低くなっていて、ラニーニャ現象の兆候が現れつつある。(気象庁HPの図を加工)

冬にこのラニーニャ現象が発生すると、日本付近では西高東低の冬型の気圧配置が強まりやすく、大陸から寒気が流れ込みやすいという傾向があります。過去のラニーニャ現象が発生した冬の平均気温のデータを見ると、平年並みか、平年よりも低い事例が多くなっています。

ラニーニャ現象発生時の冬の平均気温が平年に比べどうだったかを示したグラフ(気象庁HPより 統計期間は1948年~2021年)

近年では2020年12月からの冬、2021年12月からの冬、2022年12月からの冬と、3年連続で冬にラニーニャ現象が起きていました。このうち2021年12月からの冬は東日本や西日本を中心に平年より気温が低く、2022年12月からの冬は北日本を中心に平年より気温が低くなりました。宮城県内では2023年1月25日に、強烈な寒気の影響で最高気温が気仙沼で氷点下5.5度など、6か所で観測史上最低となったという出来事もありました。

2023年1月25日の仙台市内。強烈な寒気の影響で正午の気温は氷点下5.0度、最深積雪は10センチを観測した。

こうした傾向からこの冬も寒さが厳しくなる時期があるとみられます。