「いろんな手続きがとにかく大変」 旧姓に戻さず夫の名字を使用する人も
井上貴博キャスター:
結婚した後、女性が名字を変える割合は約95%と圧倒的です。

とある30代女性に話を聞きました。結婚して夫の名字になりましたが、離婚手続き中にクレジットカードや免許証など「いろんな手続きがとにかく大変」と旧姓に戻さず、夫の名字を使用しています。
また離婚後、子どもは基本的に夫の名字になるので、それを変更するとなると家庭裁判所に行く必要がある。「とにかく大変だ」と話していました。
ホラン千秋キャスター:
どうしても手続きの煩雑さがピックアップされることが多く、「通称使用にすれば不便さはなくなります」と訴えている候補者もいます。
しかし、そういうことではなくて、人生の節目に男女問わず長年使ってきた名前を、ある意味“奪われてしまう”という選択肢しか今ないということ。「面倒くさい」というわがままの問題ではなく、“アイデンティティの問題である”というところにも焦点を当てて議論をしてほしいと個人的には思います。

弁護士 萩谷麻衣子さん:
便利さという点では、この10年で通称姓が使えるようになり広がったことで、かなり解消されてきたと思います。
ただ、パスポートや登記、住民票、運転免許証など自分の身分を証明する公の書類は、必ず戸籍姓が最初に書かれ、その後に括弧書きで通称姓が書かれます。
普通の人は、結婚や離婚を世間に公表しなくてもいいプライベートな問題を、公の書類で公表しないといけない状態になる。特に登記などの誰でもいつでも取れるような書類に、「結婚してるんだ」「戸籍姓はこの人違うんだ」「離婚したんだ」ということを何か公表してるような状態になる。その苦痛はやはり、名前を変えた人でないとわからないと思います。
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<プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当