猛烈な暑さの要因は2つ カギは「上空の風の流れ」と「海面水温」にあり

三重大学大学院 立花義裕 教授(気象学)

三重大学大学院 立花義裕教授(気象学)
「猛暑の原因は大きく分けて二つありますね。一つは偏西風が北に日本はるか北に行ってしまって、かつ北向きに蛇行していたので、日本はすっぽりと熱帯系の暖かい空気に夏の間はほとんど覆われていたので、基本的な理由は偏西風が北に行って、そして大きく蛇行していたということによって猛暑の原因が説明できます。
 ですが、これだけだと、去年も一昨年も毎年のように偏西風の北への蛇行があるので、最近はね、ですからこれだけでは観測史上最高に暑いの説明にはならないですね。」

立花教授らの研究結果 報道発表リリース

近年、頻繁に猛暑が起こっている要因として、立花教授は、地球温暖化によって北半球全体の気候が変わり、日本付近では偏西風が北に大きく蛇行したり、高気圧が強まりやすくなったりしていることが原因とみています。

それに加えて、この夏の猛暑に追い打ちをかけているのが日本周辺の海水温度が異常に高いことです。

三重大学大学院 立花義裕教授(気象学)
「第2の理由っていうのは何かっていうと、それは日本近海の海面水温がむっちゃくちゃ高かったんですね。これも場所によっては観測史上一番高かった場所もあったと思います。
 日本近海の海面水温が高いと、どうして暑くなるかというと、海風が吹けば普通は海から来る風は冷たいんですが、それが水温がめちゃくちゃ高いので、海の上の空気も暖められて吹いてくると海風も暑いということなので、それが夏の気温を押し上げたというわけです。
 海の影響も大気の影響と同じぐらいの効果があったというわけで、その二つの効果が重なったんで、めちゃくちゃ暑いということですね。」

ことしの8月、西日本周辺の海域では、日本海側も含めて広い範囲で海面水温が30℃前後のエリアが広がっていました。

三重大学大学院 立花義裕教授(気象学)
「ある特定の狭い海域で海面水温が高いってことは過去にも何度もあったんですが、ほぼ日本列島を全てを覆うくらい高いような状態が、夏の間ずっと続いてたってのはないと思いますね。
 しかも西日本も、ご多分に漏れずむちゃくちゃ高かった。場所によっては10年前に比べて5℃も高いような海域が広い範囲で覆われていて、30℃を超えるような水温に囲まれたってのは、しかもそれが広い範囲で囲まれたっていうのは過去に例がないと思いますね。」