匿名で行われたはずの告発が…「告発者捜しマニュアル」独自入手
何がA氏を死へと追い詰めたのか。そもそもこの告発は匿名で行われた。にもかかわらず、県はどのように告発した人物をA氏と特定したのか。

報道特集は県が作成した告発者捜しのマニュアルを独自入手した。これは、取材を基に再現したそのマニュアルだ。タイトルは「庁内調査手順」。告発者の特定が組織的、計画的に行われていたことがうかがえる。
聞き取り対象として告発したA氏を含む3人の名前が書かれていた。3班に分かれ、1人に対して2人で聞き取りを行うことになっている。

A氏に聴取を行うのは片山安孝副知事(当時)と人事課職員となっていた。
【調査手順】
・午前10時30分に、各班一斉に訪問し、調査開始。
・秘書や周囲の職員に対しては、訪問の目的は「近くに来たので寄っただけ」と伝える。
・「名誉棄損及び守秘義務違反の調査のため、パソコン、スマートフォンには触らないように」と告げ、事情聴取を開始する。
・パソコンは押収する。
また「調査実施結果」と題された別の文書には、A氏への聞き取り結果について、こう書かれていた。

【調査実施結果】
・午前10時45分から11時30分で事情聴取を実施。
・告発文書のことは知らない、自分はやっていないと「否認」の姿勢。
しかし調査終了から2時間後、A氏から人事課へ電話があり、自ら告発を認めたと記されている。

【電話の主な内容】
・すべて自分一人でやったことを認める。
A氏が別の対象者・B氏に電話をした時、B氏は聴取を受けている最中だった。会話はスピーカー状態にされていた。
・情報収集してきたものを文章にまとめたことがバレた。
・単独で行った。

A氏が告発を認めた発言には下線がひかれ強調されていた。聞き取りの2日後、斎藤知事が会見した。A氏を告発者と特定した上で、強い非難を繰り返した。
斎藤元彦 知事
「県民局長としてふさわしくない行為をしたということ。被害届や告訴なども含めて、法的手続きを進めているところです。」
知事は15人ほどの記者を前に、告発の内容は事実無根だと強調した。

斎藤元彦 知事
「不満があるからといって、しかも業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格ですので」














