「保護する対象ではなかった」守られなかった告発者

公益通報者保護制度では、告発した人は降格や減給など不利益な扱いを受けることがないよう、保護される。

だが、自殺したとみられる兵庫県西播磨県民局長のA氏のケースでは県の窓口に公益通報し、その調査が行われていた最中に停職3か月の懲戒処分を受けていた。

県は告発者を特定する調査はA氏の同意を得て行ったなどと説明しているが…

A氏と親しかったという県のOB職員がJNNの取材に応じ、A氏が強引な調査の実態を語っていたと明かした。

OB職員
「人事課の発表ではパソコンの回収も『同意の上で』となっているが、元幹部(A氏)は『不意打ちだった』と言っていた」

プライベートで使用していたUSBメモリまで持って行かれたという。A氏への聴取を行った片山副知事は7月、「特別職として責任を取る」と辞職している。

兵庫県 片山安孝 副知事(当時)
「前からよく知ってた職員で、亡くなった事実は本当に痛恨の極み」

会見中、涙を見せたが、それはA氏の死を悼んでのものではなかった。

兵庫県 片山安孝 副知事(当時)
「悔しくてしゃあないですけど、自分の能力がもうなかったのだと思っています。一生懸命やってる知事を何で支えられなかったのか。」

疑惑で名前が上がる片山副知事がA氏を聴取したことについて、斎藤知事に聞いた。

――3月25日だと思うんですけど聴取を行われたのはどなたですか。片山副知事ですか。

斎藤元彦 知事
「片山副知事含めて対応されてます」

――公益通報者保護法では、『公益通報内容の利害関係者はかかわってはいけない』と定められています。片山副知事はもろ利害当事者だと思いますが。

斎藤元彦 知事
「あくまで誹謗中傷性の高い文書を作成した。これをやはり内容から見て、県の職員が作った可能性が高いということで調査をしたので、懲戒処分に該当することをやった可能性がある職員がいる、ということで調査をしたので、これは公益通報に対する調査ではないんです」

斎藤知事はA氏は公益通報者として保護する対象ではなかったとし、現在も告発内容は真実ではないと主張している。