ついに米輸入解禁

細川政権は、ついに米の輸入に踏み切ることを決定しました。これまで「米の自給自足だけは堅持」を原則としてきただけに、異例の対応でした。

この輸入米は主にアメリカやタイから調達されたのですが、ここで米についての日本のガラパゴスぶりが明らかになります。

日本人が好む米は丸くて粘りのあるジャポニカ米という種類です。しかし、タイなどから来る米は細長くて粘り気のないインディカ米だったのです。多くの日本人はインディカ米に違和感を抱き「臭い」「マズい」などといって避けようとしました。

抱き合わせ販売で違和感増大

当初は日本米とタイ米を「抱き合わせ販売」にする例をよく見ました。すると日本米を食べてタイ米を捨てる、などという浅ましい事例が頻発しました。「日本米をよこせ」などというデモも起きました。

食糧庁(当時)の「無策」も吊し上げられました。

しかし、その実、世界は首をかしげていたのです。世界的に流通する米はほぼインディカ米で、当時ジャポニカ米を好んで食べるのは日本と韓国くらいしかなかったからです(*今は寿司ブーム、和食ブームでジャポニカ米も世界的になりました)。

本来、ジャポニカ米とインディカ米の差は優劣ではなく、ジャンルの違いというに過ぎません。当時の日本人は一言でいうとまだ「世界を知らなかった」のでしょう。

本当はインディカ米もおいしい、ただジャンルが違うだけ。今ではみんなそのことを知っています。

政府やマスメディアはインディカ米用のレシピを推奨するなど、消費を促進するためのキャンペーンを行いました。なるほど、お粥、炒飯、ガパオライスほか、おいしい食べ方は多々あります。炊き方も違いますし、他の食材と混ぜるなど調理法も異なります。日本人はようやく「日本米と別種類のおいしい米」という存在を理解していきました。