取材に伺ったこの日は、1年間の熟成を経た、とある"みそ"を試食する日。
【寛さん】
「実家の岩手の方で作っていたのを、記憶を辿りながら作ってみたのが、この黄色い樽…」

この"復刻みそ"を、これからやって来る新しい和釜で仕込む予定で、クラウドファンディングのリターンのひとつにしています。
実は寛さんは3年前、こんなふうに語っていました。
「岩手の、もう流されてしまいましたけど、当時のうちの味噌に近いものをつくれたらなと思っています…」
しかし、大豆だけは同じ岩手県産のものを用意できたものの、気候や製法、さらには糀も実家とは別物…。
記憶だけを頼りに『和泉屋』の味に近づけようと試行錯誤してきました。
果たして、その味は…

「正直、思っていたよりうまい」
「おいしいよね、私もそう思う」
【寛さん】
「私の記憶をたどっても遜色ないし、むしろ昔より美味しくできたかもしれない」
ふるさと『和泉屋本店』の味を『糀屋団四郎』の製法で再現した復刻みそ。
寛さんのこれまでと、夫婦で歩むこれからへの思い、が込められています。

【寛さん】
「13年もあれから経っているので、昔の味を懐かしんでくれる人が喜んでくれたらなっていう思いに尽きますね」
クラウドファンディングには多くの支援が寄せられ、2人ともその反響の大きさに驚いていました。
『団四郎』のファンのみならず、歴史を守りたいという2人の思いが多くの人の共感を呼んでいるのかもしれません。
そして9月、次の100年を担う“新しい和釜”が岩手県から届きます。