3年前、新居浜市で元同僚の一家3人を殺害した罪に問われている男の裁判で、2審の高松高裁は22日、無期懲役の1審判決を支持し、被告の控訴を棄却しました。

住所不定、無職の河野智被告は、3年前の10月、新居浜市内の住宅で職場の同僚だった岩田健一さんと岩田さんの両親をナイフで刺して殺害したとして、殺人などの罪に問われています。

犯行の動機について、河野被告は「電磁波攻撃を受けていたことへの報復だった」と主張。

1審の裁判では、被告の責任能力が争点となりました。

弁護側は、事件当時、善悪を判断できない「心神喪失状態」だったとして無罪を主張したのに対し、松山地裁は、統合失調症による被害妄想が影響しているものの、責任能力を失ってはいない「心神耗弱状態」だったとして、去年12月、無期懲役の判決を言い渡していました。

今年6月、控訴審を前に被告から記者に届いた手紙には…

(被告からの手紙)
「今でも私の被害は妄想などではなく、絶対に事実であると確信している。3人を殺したことは許される訳もなく、言い訳する気もないですが、被害を事実と認めてもらうまで、納得できません」

あらためて電磁波攻撃を受けていたと主張していました。

高松高裁で開かれた22日の控訴審判決で、佐藤正信裁判長は医師の精神鑑定に基づく一審の判断に誤りはないとした上で、無期懲役の量刑について「心神耗弱の影響を過小評価しているとはいえない」として被告の控訴を棄却しました。

河野被告は先月、記者にあてた手紙で、棄却された場合、上告する意向を示していました。

一方、河野被告の弁護士は、上告について、「本人次第」と話しています。