「普通に過ごしたいだけ」という願い

藤山さんの弟・雄大さんは、5人の子どもをつれて毎週2人に会いに行く。松浦さんと藤山さんも、子ども達と遊ぶ時間を楽しみにしている。

藤山さんの弟・雄大さん:
「いまLGBTQ当事者のひとりとして表に立っている兄の姿はすごいと思う。当事者たちが堂々と言えない今の状況は家族としてもつらい。もっと社会の理解が進んでほしい」

カミングアウト後、母親との音信不通が続く松浦さん。拭い去れない傷と孤独。でも同性婚が認められないとしても、自分の心が変わるわけではない。藤山さんというパートナーが隣にいる安心と喜びを力に、同じ境遇で苦しむ人たちに心を寄せる。

松浦さん:
「住民票の問題は僕たちのところに舞い降りてきたように感じる。だからできることは最善を尽くしたい。LGBTQ当事者のなかには、もっともっとしんどい思いをしている人もいる。だから僕たちから行動していきたい。同じように認めてほしい。平等であってほしい」

藤山さん:
「私たちも異性の夫婦と同じ。ただ穏やかに普通に過ごしたいだけです」

「自分らしく穏やかに暮らしたい」それは誰もが願うこと。LGBTQ
自認者への理解が進む一方、行政対応で「普通ではない」とされる扱いを受け、傷ついている当事者たちがいる。

松浦さんと藤山さんの《住民票続柄》記載問題は、書類の書き方ひとつで、悩み傷ついてきた当事者たちをさらに追い込むことも、認めることもできることを教えている。同性カップルの社会的権利について、議論が進んでいない現実も示している。議論が停滞したままでは、現実と行政対応の齟齬の中で傷つく人が続く恐れがある。自分らしい生き方を支える社会とは?ふたりは声を上げ続けている。