長崎くんち「唐人船」で送る

長崎くんちの踊町の一つ、大黒町の「唐人船」を模して造られた精霊船。根曳や采振り、役員など長年にわたり唐人船に携わってきた、久保田昌夫さんを送る船です。去年10月に59歳で亡くなりました。

くんちで昌夫さんの後輩だった大久保さんが、ほぼ一人で船を作り上げました。

大久保さん:
「ふつうの精霊船とは形が違うんで」

設計図となる模型を作成、ホームセンターなどで買い集めたベニヤや日よけなども使い、唐人船の特徴を細かく再現していきました。魔よけの獅子はスポンジを切り抜いて作りました。

「久保田さんってかっこいい先輩だったんですよ。ユーモアもあって、男気もあって。やっぱりかっこいい船で送り出してやりたいなという思いはありますね」

仕上げには大黒町の仲間も駆けつけました。

「チームを意識して統率されていた。後輩とか部下への気遣いを教えてもらった」
「もうリーダー的ですよ。采振りでも中間、上の人と根曳たちとの中間になって。」いろんなことがあったけど面白かった、楽しかった」

昌夫さんのご家族に船を引き渡しました。

「ほんとに感動しています。泣きそう…。大黒町の方、それ以外にも同級生だったり、仕事でかかわった方たちにすごく慕われていたというか。今回のお船もそんな方たちが『精霊船出すときは手伝わせてくれ』っていう言葉があったからこそ決心できたし、そういう方たちが集まってくださる、ほんとにうれしいですね。一番喜んでると思います」

くんちに4回出場した昌夫さん。その中で、娘の千晶さんと一緒に出たこともありました。

「ずっと小さいころから父の影響を受けておくんち大好きだったので、すごい嬉しかったですね。私が船の上に乗った時に目の前に父がいたので、一緒に頑張ってるみたいなところも思い出ですかね。これだけの方が集まってくださるので、きっと彼も笑ってると思うので私たちも笑顔で送り出してあげたいなと思っています」

人とのつながりを大事にしてきた昌夫さん。今年6月に亡くなったお母様と一緒に、唐人船の仲間がおす船で、大黒町を通って流されるということです。