岸田総理大臣が予想より早く、14日、自民党総裁への不出馬を表明し、岸田政権は3年で幕を閉じることになりました。マクロ経済政策で言えば、それ以前の安倍・菅政権による足かけ10年にわたる「アベノミクス」や「異次元緩和」に、どうやって別れを告げるかに、腐心した3年間でした。

岸田政権の経済政策「新しい資本主義」

岸田政権は、まだコロナ禍にあった2021年10月に誕生しました。

経済重視の保守本流とされる派閥・宏池会から30年ぶりに総理となった岸田氏が掲げたキャッチフレーズは「新しい資本主義」でした。

ただ、政権が終わろうとしている今でさえ、この「新しい資本主義」が何を意味しているのかは、判然としないままです。

宏池会の創始者である池田勇人総理が掲げた「所得倍増計画」のような、わかりやすさとは全く対照的でした。

当初は、成長や企業収益より、「分配」を優先するように受け取られましたが、マーケットや、政界の一部から「成長軽視」と批判されたことから、岸田政権は、すぐに「成長も、分配も」と軌道修正を図ったところです。

結局のところ、何が新しいのか、はっきりしないところが「新しい資本主義」のミソ、その曖昧さこそが、岸田政権の政策の本質だったと言えるでしょう。