被害女性は被害に遭いながらも「声を上げられなかった」
1回目の事件が起きたのは3月20日。
検察からは被害に遭った20代女性のAさんが、バスの車内で何度も被告に体を触られていたことが述べられました。
検察が読み上げたAさんの証言です。
「ボランティアが終わり、バスの中で疲れてすぐ寝た。トイレ休憩のため車が停車したとき、二の腕あたりに何かがかすめている感触があった。窓と自分の席との間に手がするすると抜けていくのが見えた気がしたが、気のせいかと思いまた眠りについた。少しして、二の腕の外側に違和感をもった。何が起きているのかわからなかったが、さっきのことを思い出し、二の腕を触られているのではと思った。優しく揉まれているような気がして、目を向けると手のひらのようなものが見えて確信した。一時、止んだものの10分後、今後は腰の右側面を触られるようになった」
検察の聞き取りに対しAさんは、被害に遭いながらも「声を上げられなかった」としています。
検察が読み上げたAさんの証言です。
「『やめてほしい。でも、周囲に相談したら逆上するのでは』と感じ声を上げられなかった。バスが金沢駅に到着すると、手が体から離れた」
家に帰宅したAさんは親に相談。親が代わりにボランティアセンターに相談しました。

一方、被告人質問で証言台に立った被告は、Aさんへの行為について「寝ている姿がガラス越しに映り、体を触りたいと思った」としてAさんを狙って座ったわけではないと述べました。
被告が明かした経緯です。
「ボランティアバスに指定の席は無い。先に乗った人から順番に後ろに座っていく。女性の近くに狙って座ったわけではないし、座った時に犯行についての気持ちはない。自分が窓側の席に座った後、女性が前に座った。バスの外の景色を見ていた。乗ってからしばらくして外の景色に変化がなくなっていった。女性がガラス越しに寝ていることがわかり、そういう気持ちになった。『体を触りたい』と思った。右手を被害者の座面と窓の間に伸ばした。体を触りたいが、どこをというのは無かった。女性が動いたタイミングで『気付かれたくない』と思って手を引っ込めた。でも、まだ寝ていると分かって手を差し伸ばした。手が体に触れた感覚があったが胸ではないと思い、そのまま自分の体を動かさず手を下げた。右手を前に差し出して胸を触ろうとすると不自然になると思い、手をそのまま下におろした。隣に人はいなかった。30分から40分の間、手を出したりひっこめたりしていた」