頼り合える関係づくり「一緒に考えるきっかけに」

一方、窓がついたテントでは、空気が通るようになったものの、暑さについては、別の問題も残りました。

東北大 災害科学研究所・柴山明寛准教授「やっぱりシートの上が1℃以上、上ですね。悩ましいですね。悩ましいですね」

床ずれや関節が動きにくくなることを防ぐ、柔らかいマットやクッションのほか、移動に使うバギーは、熱がこもりやすくなります。

理恩さんの主治医・本田義信さん「寝ていると関節が拘縮しちゃう、バギーにいると体温が上がる。本当に繊細な管理が必要なんだなって。これで24時間過ごすのは至難の業というか、いまの時点では不可能かなと」

このほか、人工呼吸器のアラートや痰の吸引など、ケアに伴う音についても、周囲の理解が必要だといいます。

笠間真紀さん「障害児の生活音って、普段聞いたことのない音が多いと思うんですよ。私たちは日常になっているので、気がつかないことなんですけど」

過酷な状況の中、訓練をやり遂げた理恩さん。扇風機の風に、笑顔を見せました。

笠間真紀さん「気を遣って、気を遣われて、お互い気を遣うぐらいなら(障害児の親は)自分で何とかしようと思ってしまう。お互い頼ったり、頼られたりという関係が地域でできていけばいいなってすごく思ってて、障害児だから助けてもらいたいとか、障害児だから優先してもらいたいということではなくて、一緒に考えていくきっかけにしたいなと」

今回の訓練は医師や看護師も参加して行われましたが、参加者の中でも、体調を崩す人がいました。「数年前よりも格段に暑さの質が変わってきているのに、冬の寒さに比べて、夏の暑さの対策はまだ十分でない」という指摘もありました。暑さを念頭に置いた備えも必要となっています。