手軽な熱中症対策の「手のひら冷却」とは? 専門家に話を聞いた

熱中症対策は体の深部体温が上がり過ぎないようにすることが大切で、太い血管が体の表面近くを通っている首や脇、脚のつけ根などを冷やすのがよいと言われますが、それ以上に効果的に深部体温を下げられるというデータもあるのが「手のひら」を冷やすことです。 手のひらには、「AVA血管」という体温調節を担う血管が通っており、ここを冷却すると血液を通して熱交換が効率よく行えることが分かってきました。
AVA血管に詳しい医学博士で神戸女子大学の平田耕造名誉教授に、「手のひら冷却」のポイントを伺いました。手のひらを冷やす際、10℃以下の冷たすぎるものを持つと血管が収縮してしまうため効果が無くなってしまいます。15℃程度の温度で冷やすことが大切だということで、オススメの冷却法は流水に手をひたすことや、冷凍庫ではなく冷蔵庫で冷やしたペットボトル飲料を手に持つことなどです。暑さを感じたときに、10~15分程度手のひらを冷却し、汗がひくまで様子をみるとよいそうです。
そのほかにも、冷凍庫で冷やしておくと、長時間15℃前後の温度を保ってくれる「アイスバッテリー」というアイテムも販売されていて、このような冷却グッズを活用する手もあります。
ただ、深刻な熱中症の症状が出ている場合は、すぐに“体全体”を冷やすことが大切です。浴槽などに氷水をはって患者を入れることや、全身に冷水をかけ続けることなどが有効です。重症化を防ぐためにも、日常的に「手のひら冷却」などの手軽な対策を取り入れて、熱中症を“予防”したいものです。
気象庁からも、8月下旬にかけて平年以上の高温が続きそうだと注意が呼びかけられていて、猛暑との闘いは長期戦となりそうです。睡眠不足や疲れがたまっていると熱中症にかかりやすくなってしまいますので、日々うまく疲労回復をしてこの夏を乗り切っていきましょう。