高校野球の各地方大会もいよいよ大詰め、7月27(土)には滋賀で、28日(日)には兵庫・大阪・京都・奈良で、29日(月)には和歌山で決勝戦が行われて、それぞれ代表校が決定しました。
途中まで“息詰まる攻防”が続いた「報徳学園」対「明石商」
兵庫県大会決勝は、準決勝で3連覇を狙う社をタイブレークにもつれ込む大熱戦の末に下した報徳学園と、名門復活に燃える東洋大姫路をエース横山康瑛投手の力投で1対0と振り切った明石商業の対戦。ここまで勝負強さを発揮して勝ち上がってきた両チーム、序盤から1点をめぐる緊迫した展開となります。
報徳学園は、2回、明石商の先発・藤井翔大投手から1アウト1塁2塁と先制のチャンスをつかみます。ここで、明石商・狭間善徳監督は、早くも横山投手にスイッチ。準々決勝、準決勝と完投した疲労を考慮して、この試合は控えに回っていた2年生エースをマウンドに送り込みます。「1点勝負」と読んだ智将の期待に応えて、横山投手はピンチを脱出、得点を許しません。

一方の報徳学園の先発は、プロ注目の大型右腕・今朝丸裕喜投手。序盤こそ、ストレートが高めに浮いたところを狙われてスコアリングポジションにランナーを背負いますが、2回、3回のピンチを切り抜けると、その後は見事に立ち直ります。低めにしっかリとボールを集めて、中盤以降は明石商にチャンスをつくらせません。
そして息詰まる攻防が続いた6回裏、ついに試合が動きます。2アウト2塁から報徳学園の5番・橋本友樹選手の打球はセカンドへ。打ち取られたあたりでしたが、芝生の切れ目で打球が微妙に変化して、セカンドが捕球できずライトに抜けていきます。この間にランナーがホームイン。ついに報徳学園が1点をもぎ取ります。1点勝負と読んで、1アウトから4番の斎藤佑征選手の送りバンドでランナーを進めた報徳学園・大角健二監督の執念が実りました。
報徳学園はさらに8回、横山投手をせめてノーアウト満塁のチャンスをつくると、またしても橋本選手が前進守備のショートを襲うタイムリーヒット。さらに、7番・徳田拓朗選手が鮮やかなスクイズをきめて、リードを4点にひろげました。バンドを絡めた攻撃を得意とする明石商のお株を奪う攻めで、試合の流れを完全に引き寄せた報徳学園。このリードを今朝丸裕喜投手が見事に守り切って4対0で勝利。6年ぶり16回目の夏の甲子園出場を決めました。
「苦しい思いをたくさんしてきた選手たちの思いをかなえることができて、本当によかった」と振り返った大角健二監督。センバツ大会2年連続準優勝と、あと一歩のところで逃している日本一を目指して、信頼する選手たちと共に夏の甲子園大会に挑みます。