「いまのインフラは、温暖化した未来の台風対策ではありません」

TRCセンター長の横浜国立大学教育学部・筆保弘徳教授。

温暖化した未来では、台風による被害がよりひどくなる可能性を、筆保教授は指摘します。「いまのインフラは、いまの台風に合わせてつくっているので、温暖化した未来の台風対策ではありません。たとえば堤防やダムといった治水整備などは、これまでの基準を超えた台風がやってくるので、大きな被害が出てしまいます。1を基準の最大値として、川の水位が0.8や0.9だったらセーフですが、1から1.1でちょっとでも超えたら、一気に川から水が溢れて、堤防はその勢いで決壊してしまいます。50年前に“これくらいで大丈夫と”思って作られた治水整備などの基準を変えないといけない。しかし、それをするには何十兆円、何百兆円という額が使われないといけない。いまは、そのジレンマにあると思います。」