トランプ氏の再選で、日本は「重要なパートナーを失う恐れ」
「“外交大国”フランスが反対することをEUが決めることはほとんどできない。外交は大統領の専権事項であるもの、何かやろうとすれば(中道連合が弱体化した)議会を通さなければいけない。
マクロン大統領はこれまでのようにEUでプレゼンスを発揮するのは難しくなる」と田中さんは予測します。
末廣さんは「この状況をややこしくしているのは11月の米大統領選」だと指摘します。
マクロン大統領が欧州でリーダーシップを発揮できないなか、もう一方の大国ドイツが中国に接近する状況でトランプ大統領が誕生した場合、米欧の結びつきが弱まり「欧州全体が中国に寄っていく動きも想定される」と言います。
田中さんもトランプ新政権のアメリカがウクライナへの関与を弱めた場合、その分の軍事費を肩代わりする欧州の財政が悪化する、という連想が市場では働きやすい、と話します。
また、フランスの新政権の方向性次第ではEUというこれまで価値観を共有していた「重要なパートナーを、日本は失う恐れがある」とも指摘します。
フランスが財政危機になる確率はそもそも「ものすごく小さい」と田中さんは言います。
ただ「ボタンの掛け違い」が起こってリスクが増大する可能性も見ておく必要がある、という末廣さんの言葉にもうなずくのでした。
<取材協力>
第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト 田中理[たなか・おさむ]
大和証券エクイティ調査部チーフエコノミスト 末廣徹[すえひろ・とおる]
(TBS NEWS DIGオリジナルコンテンツ「経済の話で困った時に見るやつ」より抜粋)