「バイデン氏はここ数年、自分の側近としか接してこなかった」

アメリカ政治外交史を専門とする三牧聖子准教授は、バイデン大統領の高齢による認知機能の低下よりも、それによる弊害を認識しながら状況を隠してきた大統領陣営に問題があると話す。

同志社大学 三牧聖子 准教授:
「ここまで認知機能が衰えていることを討論会で見るまで多くの人が知らなかったということが問題視されていて…老いだけではなく、本当に大統領4年間できるのかという状況に関して大統領に近い人たちが隠してきた…」

番組ではアメリカの政府関係者と密に連絡を取り合っているという人物に話を聞くことができた。彼によると、バイデン氏の衰えは政権内でもあまり知られていなかったのではないかという。

シドニー大学アメリカ研究センター ジャレット・モンドシャイン 研究ディレクター:
「オフレコでバイデン続投に反対する人は、民主党議員の過半数を占めている。表立って言わないのはバイデン氏が選挙でトランプ氏に負ける原因を作りたくないからだ。“ジョー・バイデンは撤退すべきだ”と言うことはバイデン氏の候補者としての弱体化につながると恐れているのだ

政権内部の多くがあの討論会のパフォーマンスを見て驚いた。バイデン氏はここ数年、自分の側近としか接してこなかった。他のホワイトハウスのスタッフが大統領に接する機会を制限してきた。大統領のために働く多くのスタッフがバイデン氏の今の状況を知らなかったのだ」

今月6日のニューヨークタイムズ紙はホワイトハウスの高官の話として「バイデン氏は再選を目指すべきではない」「ここ数か月話すスピードが遅くなり、たどたどしい…、着実に老けた兆候…」という記事を載せた。

これまでバイデン政権ではトランプ政権の頃と違ってこのような情報リークは殆ど無かったとモンドシャイン氏は言う。

シドニー大学アメリカ研究センター ジャレット・モンドシャイン 研究ディレクター:
「討論会で一変した。意図的に流すリークではなく、情報が流れるということはホワイトハウス内部に反対意見や不一致があることの表れだ。バイデン政権は未知の領域に入ったということだろう…」

匿名の意見ばかりではない。民主党の大口献金者としても知られるハリウッドスター、ジョージ・クルーニー氏は言う…。

「バイデン氏は2020年に民主主義を救った。2024年も再び救って欲しい」

2020年は前回の大統領選。そして今回は身を引くことで民主主義を救って欲しいと訴えた。三牧准教授もこのジョージ・クルーニーの発言は重いとした上でこう話す…。

同志社大学 三牧聖子 准教授:
「8か月ぶりの記者会見…、過去の大統領と比べても台本無しの記者会見が本当に少ない。民主主義という観点から、こうした人々と台本無しに接することを制限してきたことや、世論調査でも過半数が撤退を求めていることから、バイデン大統領は決断を求められている」