「価格はある程度安くなるだろう」

 このクロマグロの漁獲枠が拡大すると、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。専門家である魚食普及推進センターの早武忠利さんは「価格はある程度安くなるだろう」という見解を示しています。マグロの養殖技術も発達して、回転ずし店でもマグロが常に並んでいる中、クロマグロのとれる量が大きく増えると、安くなってくるといいます。

 ただ、高騰し続けている燃料代や、人件費はかかってきます。さらに、今はそこまで勢いはないものの、海外の人たちがクロマグロのおいしさに気づき出して海外需要が増えると、その相場に引っ張られて値段があまり下がらないかもしれません。

 漁獲枠が倍になったからマグロが半額になるというような話ではありませんが、ある程度は安くなるのではないかというのが早武さんの見立てです。

 そもそも、マグロはどんな場所でとれているのでしょうか。太平洋クロマグロの主な漁場は日本の近海やアメリカ・メキシコの近海で、日本の年間の漁獲量は約9000トンです。ミナミマグロ(インドマグロ)はアフリカの南やオーストラリア・ニュージーランドの近海、インド洋などでもとれていて、年間の漁獲量は約6000トンです。大西洋クロマグロについては、大西洋を横断するような場所で漁が行われていて、年間約4000トンとれています。